2018年4月18日、エディブル・スクールヤードの創設者であるアリス・ウォータースさんが、ESYJが5年にわたり研究実践校として支援してきた東京都多摩市立愛和小学校を訪ね、6年生のクラスに参加してくださいました。
それは愛和小の6年生たちにとって、私たちエディブル・スクールヤード・ジャパンにとって、忘れることのできない記念日となりました。
その様子をESYJ代表の堀口博子がレポートいたします。(写真:松永勉・鳥谷部有子)
*********
この日は朝から雨模様、予定していたガーデンでのアクティビティは残念ながらできませんでしたが、愛和エディブルのガーデン・ティーチャー、フィル・キャッシュマン先生による、アリスさんを迎えてのとびきりの授業ははじまりました。
大きな、割れんばかりの拍手で子どもたちはアリスさんを迎えました。その弾けるような子どもたちの気持ちをすぐに受け止めたアリスさんは、満面の笑顔とともに、目にうっすらと涙を浮かべ、胸に両手をあてながら、なんどもなんども、「ありがとう」「ありがとう」と言いながら教室の中へと。子どもたちはもう大感激です。中には感動で涙がとまらない大人もいました。
フィル先生の、ゆっくりとした、でもはっきりとあたたかい声が教室に響きます。
「僕のヒーロー、英雄がこの授業に来ます。紹介します。アリス・ウォータースさんです。なぜアリスさんが僕のヒーローかというと、アリスさんは信じたことはやっちゃう。そうゆうところが超かっこいいんだ。そして始めたのがエディブル・スクールヤード。アメリカで始まって、今は世界中で行われているんだよ」
「みんな、両手を出して、画用紙に自分の手の形をなぞってください。そして右手の指には、エディブルで学んだことを一つずつ、左手の指にはこれからやりたいことを一つずつ書いてね」
アリスさんも、みんなと一緒に書いてくれました。
エディブルでできるようになったことは?
*HOW TO HOLD A CHICKEN
*LEARNED NAMES OF EDIBLE FLOWERS
*HOW TO WORK TOGETHER
*LEARNED HOW TO FUN WITH MATHEMATICS
*HOW TO PLANT SEEDS
これからエディブルでまなびたい、やりたいことは?
*HOW TO PROTECT NATURE
*HOW TO COOK WHAT I GROW
*HOW TO END WASTE
*HOW TO PRESERVE FOOD
*HOW TO GROW PLANTS VERTICALLY
そして愛和の子どもたちへのメッセージ
「Use your hands! In the garden Alice Waters」
担任の先生からアリスさんにこんな質問が、
「いちばん面白かった授業はなんでしたか?」
アリスは悪戯っぽく笑いながら、
「いい質問ね!」
「そう、私が面白かった授業は、どの植物にどれくらい水が必要なのかという授業よ。カリフォルニアでは水は貴重なの。植物によって必要な水の量が違うから、みんな工夫して植物を育てるようになったわ」
「あとは生徒が学校の庭の間を通り抜けながら、キイチゴや野菜をつまみ食いするところを見るのが好きなの。だってそれってみんながガーデンを好きだってことでしょ?」
授業が終わると、さっきまでの雨は上がっていました。アリスさんは教室にいた一人一人全員とハグをしてくださって・・・。みな、なごりおしい気持ちをおさえながら、アリスさんをガーデンでお見送りしました。
ありがとう、アリス! 愛和に来てくれたこと、私たちのかけがえのない時間です
アリスさんは、愛和小学校の児童による給食配膳を熱心にご覧になり、とても興味深そうに、
「アメリカでは教室でランチをするなんて、考えられない。でもこうしてできるじゃない? 素晴らしいシステムね、見習わなくちゃ! さっそくアメリカでやってみるわ!」
アリスさんは現在、スクールランチを必修教科の一つとして、学校が地域の小規模有機農家を給食で支えながら、給食をオーガニックに変革し、そして授業として取り組むエディブル・エデュケーションをカリフォルニア州政府に対して呼びかけている。そのアクションのなかで、学校にカフェテリアがなくても、教室でランチを摂れるやり方を紹介しているに違いない。日本の給食から学んだこととして・・・
そして日本は、アメリカからオーガニック給食が広がっていることを、食べ物がどこから来るのか=フードシステムと教育の関わりを大いに学びたいですね。